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Presentation Video
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ARCHITECTURE & ART ALL WORKS 2015-2021
ITSUKI
MATSUMOTO
日比野克彦×道後温泉 道後アート2019・2020「ひみつジャナイ基地プロジェクト」
PROJECT
PROGRAM
交流拠点/Exchange base
CLIENTS
道後アート実行委員会
TYPE
実施コンペ / Competition
YEAR
2020.05 -ON GOING
LOCATION
愛媛県松山市道後湯月町(上人坂)
Dogoyuzukicho, Matsuyama, Ehime
AWARD
最優秀賞/ first prize
COLLABORATORS
実施設計/Detailed design
愛媛建築研究所
構造設計/structural design
藤尾構造建築設計事務所
施工/construction
伊藤工務店+伊予匠ノ会
「上人坂の編集者として」
四国は松山、道後温泉界隈に点在する神社仏閣。 その一つに、時宗開祖である一遍上人が生まれ過ごした寺院、宝厳寺がある。 道後温泉本館から東へ、山裾に鎮座する宝厳寺へと向かう道中は「上人坂」と呼ばれ、 門前町としての歴史から始まり、夏目漱石名著「坊ちゃん」では花街として描かれ、通称ネオン坂とも呼ばれた場所である。 現在ではそれらのコンテクストが混ざり薄れる中、社会状況に伴う空き家の点在も起因し、混沌とした空気を纏う場となっている。
本計画案が据えらるのは、その上人坂を登り切った先にある、アールの効いたエッジである。 わずか50坪程の土地であるが、向かいとなる宝厳寺から見下ろす風景を決定付ける立地条件を持つ。 無論、そこから映るのは歴史的コンテクストのみならず、山裾ゆえ両脇に広がる山々、坂上という立地条件から望む遠景が効いた、 デプスを持った風景である。
本道後アートプロジェクトが担う役割は、歴史・社会状況・風景という重層するコンテクストを纏う「上人坂の再編」である。 薄れゆく歴史への応答、沈みゆく地域社会への鼓舞、連なる風景への責任、それらを一にして遍き、土地の真価をアートとしてのスケールを超越した「建築」によって示すこと、地域再編へ向けた多様な活動を内包する「多義的な拠点」を生み出す事が建築家として課せられた使命であった。




初期段階のドローイング

「一にして遍く思想とその姿」
本提案を創造する手掛かりとして、上人坂を含む道後地域界隈に歴史的拠点として点在する社寺仏閣を参照した。 既にこの地において、数百年に渡り小規模分散拠点として根を下ろしてきたそれらをメタファーとする事は至極必然な判断であった。 取り分け着目したのが、破風や緩やかな勾配による優美な曲線屋根、そして緑青という物理的性質によって地域との時間軸での繋がりを生み出す銅板というマテリアルである。つまり、本提案における建築構成要素のアウトラインは、この地に根付く形式である優美な曲線を描く銅板葺の屋根と定義された。
銅板曲線屋根、その形状を定めるのは上人坂の歴史・風景というコンテクストである。 アールの効いたエッジと屋根の外形線の相似、かつての花街としての歴史を匂わせる妖艶なフォルム、 周囲の山々に近似するフォルムを近景として添える事で完成する風景という様に、 描かれた曲線は私の意思のみならず、歴史・風景との合意形成のもとにある。 そのようにして描かれる線は違わず美しいものである。
上人坂の再編を使命とし、歴史・風景というコンテクストから描かれた曲線屋根、 それを建築として成立させるのは大黒柱を主体とした構造形式である。 直径7,900mmの円形平面に対し、偏心した重心に集約する登り梁・垂木が 求心性を高め、人々を引き寄せ、多様な活動を内包する場となる。混沌と重層 するコンテクストに対し、一にして遍く思想を貫く事で立ち現れる建築の姿が、 その思想と近似する佇まいを持つ事は必然と言えるだろう。










フィールドワークによって確認された多様な社寺仏閣

コンテクストから描かれる曲線




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